公的証明書の中に“身分証明書”という正式名称の書類があることをご存知ですか?
「身分証明書って運転免許証や保険証といった公的証明書のことでしょ?銀行の口座開設で必要になるアレ!」と答える方が多いのではないでしょうか。
運転免許証や保険証は身分を証明する書類という意味では正解です。本人確認書類のことですね。
でも実は、公的書類としての正式名称が“身分証明書”というタイトル名の書類があるのです。
身分証明書は正確には以下の内容を証明してくれる書類です。
「禁治産・準禁治産の宣告を受けていない」
「後見登記の通知を受けていない」
「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない」
その人が破産者や禁治産者(成年後見制度の前身「禁治産者制度」参照)ではないことの証明書ということですね。
後見開始申立てを行う際に家庭裁判所によっては成年後見人候補者の身分証明書の提出が求められる場合があります。これはその成年後見人候補者が破産者ではないことを証明するために提出をします。民法では破産者は成年後見人になれないということが決められています。
破産者が成年後見人になれないことについては別途、過去ブログにて解説しています。
また身分証明書は、国家資格などの資格取得の際や行政の許認可を取る時、一定の職業に就く場合に求められる公的書類です。
例えば医師や弁護士、司法書士、行政書士、宅建業の登録の際などは身分証明書の提出が必要となります。これらの資格も破産者はその職業になれないためです。
その身分証明書はどこで取れるのかというと、その人の本籍地の役所です。基本的には本人か、本人から頼まれた代理人しか取得ができません。
破産をしているか、禁治産者か、など非常に高度な個人情報にあたるので、取得できる人はかなり限定されています。
手数料は役所によりますがどこも数百円です。
現在、各市町村はホームページで取得方法の詳細を載せているところも多いので、手数料や請求書をダウンロードして郵送で取り寄せが簡単にできます。