令和6年2月15日に“法制審議会”が開かれ、成年後見制度の利用について見直しが議題とされました。
大手メディアにもいくつも取り上げられていましたのでニュースで目にした方も多いのではないでしょうか。
成年後見制度のどこをどのように見直すのか表にまとめました。
現状・課題 | 検討内容 | |
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法定後見制度の終了について | 利用動機の課題(例:遺産分割) が解決しても、判断能力が回復しない限り利用をやめることができない | 一時利用を検討 |
取消権・代理権のルール整備 | 成年後見人には包括的な取消権、代理権があり、本人の自己決定が必要以上に制限される場合がある | 本人の同意を要件としたり、範囲の限定を検討 | 成年後見人交代可能について | 成年後見人の交代は容易ではない | 柔軟な対応ができるように検討 |
任意後見制度の適切な時機の監督人選任を確保する方策 | 本人の判断能力が低下したにも関わらず監督人選任申立てがされない | 任意後見受任者に任意後見監督人選任の申立てを義務付ける仕組みや申立権者の範囲の見直しを検討 |
(参考:「法制審議会第199回会議(令和6年2月15日開催)配布資料6 成年後見制度の見直しについて」より)
このように一時利用や成年後見人の交代について柔軟な対応となるような検討が進められています。
特に一時利用については、親族がいてもともと財産管理などはできており、不動産の売却や遺産分割など大きな法律行為が必要になり後見人をつけたような人には向いていると思われます。
このようなケースであれば弁護士や司法書士などの専門職が後見人として不動産の売却や遺産分割などを本人の利益を最大限に確保した内容で行う。
そしてその後は親族に引き継いで後見業務を終わらせるという流れができそうです。
その一方、親族やキーマンとなるような存在がいない人は、施設とのやり取りや入院時の手続き介護保険や医療保険の手続き、還付金の手続きなど日常生活においても継続して後見人が必要となるのではないかと思います。
成年後見人がつくのが嫌だから不動産売却や遺産分割をしないままにしていたご家族には一時利用が適していそうです。
なおこの成年後見人の一時利用についてはかんたん後でも以前に取り上げています。
2年以上前の記事です。
この時既に検討が始まっていたにも関わらずやっと
役所の仕事というのはこうも遅いのですね・・・
しかもこの後法律が整備され、という工程ですのでまだ道のりは長そうです。
実現まで見守りたいと思います。