お金がある人もない人も平等に老いはやってきます。
預貯金がほとんどない人も認知症になることはあります。
判断能力が衰えた人のために法律上の代理人をつける制度が成年後見制度です。
そしてその人には親族がおらず、施設入所や福祉サービスの契約等で後見人が必要になることもあるでしょう。
成年後見制度の利用には本人の財産から後見人へ報酬が支払われます。
では生活保護を受けている人は成年後見制度の利用ができるのでしょうか?
成年後見制度はお金のない人でも利用できます。
もちろん生活保護を受けていたとしても利用可能です。
実際にはどのくらいの報酬をどうやって支払うのか見ていきましょう。
まずは東京家庭裁判所が公表している後見人への報酬基準です。
基本報酬 | 月額2万円 |
管理財産が1000万円を超え5000万円以下 | 月額3万円〜4万円 |
管理財産が5000万円を超える | 月額5万円〜6万円 |
(参考:平成25年1月1日付東京家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」より)
こちらをベースに事案やその期間に後見人が行った特別なこと(相続手続きや施設入所など)を加味して裁判所が金額を決定します。
基本報酬は最低報酬と決められているわけではありませんのでもう少し低い金額のこともあるでしょう。
ただし生活保護だからといって後見人報酬がゼロというわけにはいきません。
ゼロだとなり手がいなくなってしまいます。
では生活保護の場合、医療費は公的負担となり無償ですがそのような制度があるのでしょうか。
財産が少ない人でも後見制度を利用できるように「成年後見制度利用支援事業」というもの全国のほぼ全域の各自治体にあります。
令和3年4月1日時点1741の自治体のうち1674の自治体で高齢者に関する、1662の自治体で障害者に関する後見人制度に関する助成制度があります。
(参考:厚生労働省「成年後見制度利用支援事業について」より)
この事業の中に成年後見人への報酬の支払いを助成する事業も含まれており、その制度を利用することで預貯金の少ない人も後見制度を利用できます。
助成対象の条件は各自治体によって異なるものの多くの自治体は、助成対象者は生活保護や住民税非課税世帯の人で預貯金が一定金額以下の人が対象となっています。
また助成金額については23区のを見てみると本人が在宅の場合は月額2万8000円、施設入所の場合は1万8000円というように在宅と施設入所で差をつけているようです。
このように生活保護の人でもお金のことを気にせずに成年後見制度が利用できるようになっています。