新型コロナウィルスのワクチン接種が始まりました。
一部の市町村では令和3年4月12日から高齢者への接種が開始されます。
認知症などで成年後見人がついている本人がワクチン接種をする場合に、成年後見人はどのように手続きを進めていけばいいのでしょうか?
先日厚労省から発表された成年後見制度利用促進ニュースレター第29号 ―令和3年3月22日発行-(PDF)に「新型コロナウィルスにおける後見人等の役割について」の記載がありましたのでその内容を見ていきたいと思います。
そもそも成年後見人には本人が医療行為を受ける際に同意をしたり反対をする権限はありません。
そのためワクチンを受ける、受けないについては本人がどうしたいかの意思を確認することが大前提となります。
成年後見人としてはできる限りワクチンのリスクや副反応を本人が理解しやすい環境づくりをすることが重要です。
ただし予防接種法では、ワクチンを受ける場合、接種を受ける本人もしくはその保護者から書面により同意を得ることとなっており、この「保護者」には後見人が含まれます。
第2条7項 この法律において「保護者」とは、親権を行う者又は後見人をいう。【予防接種法】
第5条の2 予防接種を行うに当たっては、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して、予防接種の有効性及び安全性並びに副反応について当該者の理解を得るよう、適切な説明を行い、文章により同意を得なければならない。【予防接種実施規則】
ニュースレターによると具体的に成年被後見人本人が予防接種を受ける時の署名の運用としては以下の通りとのことです。
原則として、成年被後見人本人の住民票を置いている市町村の医療機関や接種会場で接種を受けられます。
なお、病院に入院している場合や施設に入所をしている等の事情がある場合は住所地以外で接種を受けることができる見込みです。
以下のような流れとなる予定です。
【接種の流れ】
※ 医療機関・施設に入院・入所されている方は、施設等内で接種が行われることも。
※成年被後見人等ご本人が予約を取ることが難しい場合、 成年後見人が代理で予約も可能。
※成年後見人は接種に付き添う義務はありませんが、本人が一人で接種に行くことが難しい場合ヘルパーの手配等は必要となるでしょう。
成年後見制度の利用者の場合本人が入院中であったり、自宅に住所をおいたまま施設に入所しているようなケースも多いでしょう。
今回の厚労省のニュースレターにはそのようなケースでの接種券の受け取り方の指針も書かれています。
【本人が住民票の場所以外に住んでいる時の接種券受取方法】
なお送付先を成年後見人の住所にしてもらう等の場合は登記事項証明書等を役所へ提出する必要があるため準備が必要です。
このように住民票を置いている市町村以外でも接種券を受け取れるようになっているため後見人としては接種券の受け取りを確実に行う必要がありますね。
今後国ではインターネットで、接種を受けることができる医療機関や接種会場を探すための、接種総合案内サイトを設置する予定とのことです。
また具体的な接種の手続き各自治体や入院されている病院。施設等からの案内を待つこととなります。
なお新型コロナウィルスのワクチン接種費用は無料です。
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のために必要と騙り、金銭や個人情報をだまし取ろうとする電話があった旨の相談が消費生活センターへ寄せられています。
市町村等が、ワクチン接種のために金銭や個人情報を電話・メールで求めることはありませんのでご注意ください。
後見人になっている方はこの点も強くご本人にお伝えしたい点です。