民法大改正で明記される”意思能力”とは?

私たちが生活をしていく中でのルールを決めている法律、民法の債権関係が来年2020年4月1日から改正されることは前回のブログでお知らせしました。

約120年ぶりの大きな改正ということで契約や利息、敷金のことなど様々な条文が見直しされたり、新設されたりしています。

※改正に関する詳細は、“民法大改正〜成年後見制度への影響は?〜”をご参照ください。

今回はそのたくさんの改正のうち、高齢者などの権利を保護するために明文化された“意思能力”について見ていきたいと思います。

判断能力が衰えた人の権利を守る制度の明文化

現在、判例や通説では重度の認知症などで意思能力がない人が行った法律行為は無効である、とされています。しかしながら今までの民法上ではその旨の条文はありませんでした。

今回の改正では、高齢者などの権利を保護し安定した取引を行うために以下の条文が追加されます。

【改正民法第3条の2】
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

意思能力とは、自分がした行為の結果を判断することができる精神能力のことです。つまり、何らかの法律行為を行なったとしても、本人に判断能力がなければその行為はなかったことになる、ということですね。

例えば、ある人が家を売るという行為をした場合、その結果、家を引き渡す義務と売買代金を受け取る権利が発生します。通常の意思能力を有している場合は、家を売ることで発生する権利と義務について理解ができます。

しかし、認知症などで自分の行った行為の結果を理解することができない人は、自分が売ると言ったことも忘れてしまっていたり、売ると言ったことと家を引き渡すことが結びつかなかったりすることがあります。そうすると本人も不利益を被る場合や、取引の相手方に損害を与えてしまう場合があります。

今回の改定により上記条文が追加されることによって、意思能力を有しない人が行った行為は、当然に後から無効を主張することができ、不当に不利益を被ることを防ぐことが期待されています。

また、取引の相手方としては、このような条文が追加されることで取引後に契約がなかった事になってしまう可能性が高まるため、契約時には取引相手の意思能力の有無をより慎重に確認する必要が出てくるでしょう。

意思能力の民法明記が成年後見制度へ及ぼす影響

意思能力を民法に明文化することによって、成年後見制度にはどのような影響があるのでしょうか?

意思能力が民法に明文化されることにより、今まで以上に売買契約や銀行の取引では本人の意思確認が厳しくなるものと考えられます。取引をする相手方としては、後から「取引をした時は意思能力がなかったので契約は無効である。」と言われることを避けたいからです。

そのため、意思能力があいまいな人とは取引をせずに、そのような人に対しては「法律上の代理人を立てる成年後見制度を利用してほしい。」と言う場面が今よりも多くなるのではないでしょうか。

高齢化社会が進んでいく中で、本人をはじめ取引の相手方を守る制度としても成年後見制度の重要性はますます高まっていると言えそうです。

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