成年後見制度の利用に関して、非常に興味深い記事を見つけました。成年後見人に関して、今後は親族後見人や市民後見人をより積極的に選任する方針に変更する!とのことです。
これは、成年後見制度において非常に大きな一歩になるため、今回はこの記事の内容を紹介します。
以前にも“専門職後見人のメリット・デメリット”の中でご説明していますが、成年後見人には専門職後見人が選任されることが多くなってきており、親族が後見人になることが段々と難しい状況となっています。
上記グラフの通り、親族後見人の割合は着実に減少してきており、昨年(平成29年)時点では、新たに選任された後見人の内、親族後見人はわずか3分の1にも満たない状況となっています。
専門職後見人は、親族後見人と比較して専門的な知識で手厚くサポートできる、後見人による不正の発生を抑止できるなどのメリットがある、と言われています。
上記理由から家庭裁判所は、親族後見人よりも専門職後見人をより積極的に選任していると考えられています。
しかし、親族が後見人になりたかったでも家庭裁判所の判断で専門職後見人が選ばれることもあるため、親族から不満の声が多く上がっているという事実もあります。
また、専門職後見人の業務怠慢や、専門職後見人による横領等が発覚することもあり、専門職後見人の是非が問われる状況になってきています。
今回の記事の中では、このような状況に対して最高裁の事務総局家庭局の課長から以下の発言があった、と報じられています。
この点については、裁判官の判断事項に関わるところではあるが、裁判所として、基本計画を踏まえ、まず身近な人、親族などに後見人になっていただくか、もしくはその地域の人に市民後見人として関与していただくということが望ましいと考えている。
つまり、今後は親族後見人や市民後見人をより積極的に選任していく方針だ!という趣旨ですね。
ただ、“裁判官の判断事項に関わるところ”や“望ましい”等の言い回しを使うことで明言を避けているため、方針が確定した!というのは時期尚早かもしれません。
しかし、最高裁の事務総局家庭局の課長の発言ということを考えれば、この発言が全く実現されないということは考えにくいため、今回のこの発言は成年後見制度にとって非常に大きな一歩になるのではないでしょうか。