成年後見制度の問題点

平成28年5月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行されたように、成年後見制度は政府も強く利用を促進している制度です。

これからの高齢化社会を考えると認知症の人は必ず増加します。
そのような社会においては、本人の意思を尊重し&財産を適切に管理するために成年後見制度の利用が推進されることは、当然の状況だと思います。

成年後見制度の問題点

しかし、成年後見制度はその理解がなかなか進んでおらず、時として「直面する問題を解決するために利用を決めたが、利用した結果別の問題が生じてしまった」ということが起こりうるのです。

この記事で指摘されているように、当初の目的は”本人の銀行口座から本人の介護費のために現金を引き出しをしたかった”だけなのに、いざ成年後見人の申立てを行ってみると、

  • まず開始の際の申立ての手続きが煩雑で、個人では申請の難易度が非常に高い
    また成年後見人に選定された後も、財産や収支を管理し毎年報告する義務がありこの作業も非常に手間がかかる
  • 家族が自分自身を候補者として申立てを行ったが、裁判所は別の第三者を後見人として選定した。そのため、今後毎月2万円〜3万円の報酬を、本人(被後見人)の財産から支払う必要が生じてしまった。

など、当初は全く想定していなかった問題を抱えてしまう可能性があるのです。

2つの原因

成年後見制度の問題点 - 35

このような状況に陥ってしまうのには、以下2つの原因があると考えられます。

  • 成年後見制度自体の問題
  • 成年後見制度に関する情報不足の問題

まず【成年後見制度自体の問題】として、制度利用の柔軟性の乏しさが挙げられます。
というのも、成年後見制度は後見人・保佐人・補助人という“本人の判断能力”に合わせた種類(類型)は用意されていても、その利用目的の大小や理由に応じた種類は設けていません。そのため、一律に同じ労力(開始申立等に費やす時間など)を必要とし、その労力が大きな負担になってしまっているのです。

そして【成年後見制度に関する情報不足の問題】とは、正しくかつ分かりやすい情報が世に広まっておらず、誤った認識のままで成年後見制度の利用を開始してしまうケースがあるということです。
誤った認識からスタートするため、想定していた状況とはまったく違った展開になってしまい、予期しない新たな問題が発生してしまうことにつながるのです。

代替策は? 状況に応じた選択を!

このような状況を回避するためには、成年後見制度以外の方法で対処するしかありません。

本人が認知症を発症する前であれば、上の記事内でも勧められている家族信託などを利用することで、事前に本人以外でも本人の財産を管理できるような状況にしておくことが最善の方法の一つだと言えます。

家族信託:本人が所有する財産を信頼できる家族の名義に移し、その人に財産管理をしてもらう仕組み。

とはいえ、家族信託などの事前対策は本人が認知症になってしまう前にしか実行することができません。
対策を打つ前に認知症になってしまい、でもどうしても本人の財産(不動産や預貯金など)を利用する必要がある場合には、やはり成年後見制度を利用する必要が出てくると思います。

もしも、「成年後見制度を利用する」と決めた場合には、本webサービス『かんたん後見』のご利用をご検討ください。

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