ジャパンライフ被害から見えてくる成年後見制度のメリット

昨年12月に資金不足により銀行取引停止処分を受け、事実上倒産したと報じられたジャパンライフ。
同社は、預託商法によって約8,500人と計1,800億円近い契約を結んでいたため、単純計算で一人2,000万円を超える被害額となっており、その被害額の大きさから非常に大きな社会問題となっています。

しかし、今回のジャパンライフ被害が大きな社会問題として報じられている要因には、その販売手法にも原因があるようです。

ジャパンライフ被害の手口は高齢者を狙った高額商品の販売

では、ジャパンライフはどのようなビジネスを行なっていたのでしょうか。
同社は、100万円以上もする磁気治療器を購入すれば、同社がその商品を別の顧客にレンタルすることで年6%の収入を得られる、という仕組みの預託商法を展開していました。

銀行の定期預金の金利が1%にも満たない時代ですので、非常に高い利回りの商品と言えます。

この方法自体に違法性はないのですが、

などの事実が明るみにでてきており、その結果として特定商取引法や預託法違反による業務停止命令が消費者庁から出されています。

今回のジャパンライフ被害は、被害額が大きかかったことに加えて、その販売方法が違法性が高く悪質であったことから今回のような大きな騒動になっているのです。

なお、消費者センターに寄せられたジャパンライフに関する相談件数のうち75%が75歳以上とのこと。
元社員も「一人暮らしの老人を狙っていた」と証言しているため、ジャパンライフが高齢者を狙ってお金を集めていたことは間違いのない事実のようです。

消費生活センターに寄せられたジャパンライフの相談件数は、2015年4月1日から2017年12月5日までに515件に達した。年齢は75歳以上が75%、女性が74%。高齢で一人暮らしの女性が多いという。

今回のジャパンライフの手口は、一般的に判断力が低下しがちな高齢者を狙うという非常に悪質な手法だったと言えます。

認知症の高齢者が消費者被害にあうリスクは高まっている

今回のジャパンライフに限らず、悪質な業者は多数存在しています。
高齢者を狙った悪質な販売は昔からよく知られていますが、その手法は年々巧みになってきています。そのため、高齢の親族がいる場合には、本人に対して十分に注意を促すなどの対策が必要になります。

しかしいくら対策を行っても、その本人が認知症であった場合には、その被害を防ぐことは難しいと考えられます。

少し古い記事になってしまいますが、消費者生活センターに寄せられた相談において、認知症や知的障害がある高齢者が被害者となったケースが10年前に比べほぼ倍増した、と報じられています。

65歳以上の高齢者人口が増加しているとは言え、その増加率は約1.3倍(平成17年:2,576万人→平成27年:3,395万人)となっているため、認知症や知的障害がある高齢者が、より被害に遭う危険性が高まっていると言えます。
(参考: 総務省統計局ー統計トピックスNo.72 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)

認知症の高齢者を狙った消費者被害への対策には成年後見制度が有効

認知症の親族が高額商品を騙されて購入してしまうような消費者被害は、本人が被害に遭っていることに気が付かないケースも多itame,なかなかその被害を防ぐことができず非常に対策が難しい問題です。
しかし実は、成年後見制度を利用していればこのような被害を回復することが可能になる場合があるのです。

具体的には、その本人に成年後見人が選任されていれば、後見人がその契約を取り消しすることが可能となります。

また、取り消しが可能な期間は、後見人がその契約を把握してから5年間、もしくは後見人が知らなかった場合は契約時から20年間の時効となるまで、となっています。
そのため、被害の発覚が遅れてクーリングオフ制度が利用できないような場合にも被害を回復することが可能です。

(成年被後見人の法律行為)
第9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(取消権の期間の制限)
第126条 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法

なお、通信販売や店舗販売では使えないクーリングオフ制度とは異なり、日用品以外の購入であればどのような買い物方法でも取り消しが可能なこと、商品が消耗品であり既に利用してしまっていた場合でも取り消しが可能なことも、成年後見制度を利用している場合の大きなメリットとなります。

(取消しの効果)
第121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

引用元:民法

そのため、もし自分の親族に認知症の方がいて高額商品を購入させられてしまうリスクが高い場合には、「成年後見制度を利用して後見人をつけておく」という対策が、一つの有効な選択肢になるのです。

ただし、実際に高額商品を購入してしまった時点で後見人がついていなければ、後から後見人をつけたとしても、無条件に取り消しを行うことはできず、裁判などで購入時の判断能力の有無を争うこととなります。そのため、被害をなるべく抑えるためには、被害が発生してしまう前に後見人をつけておくことが望ましいと考えられます。

成年後見制度の利用は被害の事前抑止にも効果あり!

実際に、「成年後見制度を利用していたおかげで高額商品の契約を取り消すことができた」という実例もあるようです。

本事例では、後見人が選任されているという事実が、販売業者が押し売りにくることの抑止効果にもなったとのこと。
成年後見制度の利用は、被害の回復だけでなく被害の事前抑止にも効果がある方法だと言えそうです。

しかし、いくら契約の取り消しができるからと言っても、相手となる業者と連絡が取れなかったり、その業者が既に倒産してしまったりという状況が起こると、その被害を回復し代金が返却されることは現実的に不可能となります。

そのため、被害が発生してからその被害を回復するよりも、被害の発生を事前に抑止するほうが、より優れた対策だと言えます。
この点も考慮すると、成年後見制度の利用は「高額商品を騙されて購入させられてしまう被害」への非常に有効な対策になると考えられます。

成年後見制度の利用には制度の十分な理解が必要!

ただし、成年後見制度はまだまだ課題がある制度です。(「成年後見制度の問題点」参照

成年後見制度を利用すれば、悪質な業者によって高額商品を購入させられてしまう被害を防ぐことは可能にはなりますが、後見人に専門職が選任されて想定外の報酬が必要になってしまった、というような想定外の状況が発生してしまう可能性もあります。

成年後見制度の利用を開始してから「こんなはずじゃなかったのに」という結果にならないように、成年後見制度のメリット・デメリットを十分に理解した上で成年後見制度の利用有無をご検討ください。

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