あなたが成年後見人に選ばれるための5つのポイント

成年後見制度の利用を検討をしている人の中には、「親族である自分が成年後見人になりたいんだけど、家庭裁判所から成年後見人に選んでもらえるんだろうか?」と不安に思っている方がいるかと思います。

確かに、ここ最近の成年後見制度の利用に関する統計情報においては、親族よりも弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に選ばれる可能性が高い、という傾向がより顕著になってきています。

そのため、何も対策を行わないで後見の開始申立てを行ってしまうと、親族であるあなたが成年後見人に選ばれることはなく、専門家が選ばれるという結果になってしまうでしょう。

しかし、やはり家族の中に他人が介入してくることはできれば避けたいですし、専門家に対して毎月報酬を支払うことも避けたいと考える方は多いと思います。

今回は「かんたん後見」を監修している司法書士の宮内悠衣子、が成年後見人に選ばれるためのポイントをお伝えします。

あなたが成年後見人に選ばれるためには、具体的には以下の5つが重要なポイントとなります。
次章より詳細な内容を解説します。

  • 反対する家族がいないこと
  • 財産を隠さないこと
  • 本人のお金と家族のお金をきちんと分離すること
  • 後見制度支援信託や特別代理人選任の必要性を理解していること
  • 面談では堂々と自信のある態度で臨むこと

1. 反対する家族がいないこと

まず1つ目のポイントは、成年後見制度の利用自体に反対する人や、あなたが成年後見人になることに反対する人が家族の中にいないことです。ここで言う家族とは、本人が亡くなった場合に相続人となる人(=法定相続人)を指します。

後見開始申立時に家庭裁判所へ提出する書類の中に、『親族同意書』という書類が存在します。
この『親族同意書』とは、「本人に成年後見人をつけること、また候補者である〇〇さんが成年後見人に選ばれることに同意します。」という内容が書かれている書類で、本人の法定相続人にあたる家族に署名捺印をしてもらう必要があります。

しかし家族の中には、「お父さんに成年後見人はつけたくない!」という考えを持つ人や、「兄が信用できないので兄が候補者になることは認めない!」という意見を持つ人もいる可能性があるため、この『親族同意書』に署名捺印がもらえない場合があります。

もし『親族同意書』に署名捺印がもらえかった場合、成年後見制度の利用に反対する家族がいるという事実が家庭裁判所にも伝わることになります。その事実を受けて家庭裁判所は、「家族が成年後見人になったのでは本人への安定した支援を行えない」と判断し、弁護士や司法書士等の専門職を成年後見人に選ぶ可能性が高くなってしまいます。

このような状況を回避するためには、後見開始申立てを行う前に、反対が予測される親族に事前に聞き取りをし、成年後見制度の利用や候補者について理解・納得をしてもらうことが重要となります。

2. 財産を隠さないこと

2つ目のポイントは、家庭裁判所へ報告する本人の財産や相続財産について決して隠さないことです。

家庭裁判所へ提出する財産目録は、可能な限り正確に記載する必要があります。
「この通帳は使ってないから書かなくていいかな」とか、「この口座から家族の生活費を引き出しているから、この口座は財産目録に記載するのはやめておこう」といったような勝手な判断は厳禁です。

もし、財産を隠していることが家庭裁判所に発覚すれば、「この人は信用ができない」と判断されてしまい、成年後見人に選ばれない可能性が非常に高くなってしまいます。

そのため、後見開始申立時の財産目録を記載する際には、本人の財産や相続財産を可能な限り正確に記載するようにしましょう。もし、その存在の有無が不明確なものがあれば、「不明」と記入すれば問題ありません。

3. 本人のお金と家族のお金をきちんと分離すること

成年後見制度において、本人のお金は基本的には以下のような目的にしか利用することができません。

本人のお金を上記以外の用途に利用していた場合には、この候補者では本人の財産を守れない可能性がある、と判断されてしまいます。

具体的には、本人が寝たきりなのに成人している子の遊興費や家賃を本人の預貯金から支払っているような場合には、あなたを成年後見人に選ぶと本人の財産を守れない可能性が高い、と家庭裁判所が判断することがあります。

そのため、本人のお金と家族のお金を正しく分離して管理することが、あなたが成年後見人に選ばれるための重要なポイントとなります。

なお、家庭裁判所は申立ての際に本人の通帳を確認しますが、その際に過去のお金の使途を確認してくることがあります。
そのため、本人のお金を使い込んでいると判断されることがないように、後見開始申立の以前から本人と家族の財産を分離して管理しておくことが重要です。

4. 後見制度支援信託や特別代理人選任の必要性を理解していること

4つ目のポイントは、後見制度支援信託や特別代理人の必要性について理解をしていることです。

これによって、「候補者は成年後見制度を十分に理解しており本人の財産を正しく管理するが可能だな」と家庭裁判所が判断してくれる可能性が高まります。

まず、“後見制度支援信託”ですが、これは本人の現預金などの財産が高額(おおむね1000万円以上)の場合に、成年後見人による不正の被害を抑えるために、家庭裁判所から利用を勧められます。

※“後見制度支援預金”も同様に家庭裁判所から勧められることがあります。

“後見制度支援信託”や“後見制度支援預金”を利用すると、成年後見人の手元で管理する財産額を減ることになるため、万が一不正が発生してもその被害額を抑えることが可能になるためです。

このような場合、何も考えずに後見開始申立ての面談時に挑むと、成年後見制度を十分に理解していないと判断されてしまうため、専門家を成年後見人に選ぶ可能姓が高くなってしまいます。

上記のような状況を回避するため、後見開始申立ての面談時には「普段利用しないお金は後見制度支援信託を利用して管理します」ということを自ら伝えるようにしてください。
これによって、成年後見人に親族が選ばれる可能性が高まります。

“特別代理人”に関しても同様です。

特別代理人とは簡単に言うと一時的な成年後見人です。成年後見人と本人の利益が相反するような場合には、その状況を解消するために、成年後見人とは別に特別代理人が選ばれます。

例えば、成年後見人と本人が母と子の関係で、本人の夫が亡くなって遺産分割をしなければならない場合、成年後見人と本人が利益相反の関係となってしまうため、特別代理人を立てることが必須となります。

上記のような成年後見人と本人が利益相反の関係となる状況にも関わらず、そのような候補者を立ててきた場合、家庭裁判所としては「この人は成年後見制度を正しく理解できていないのではないのでは?そのような懸念があるなら専門職を成年後見人にしておいた方が良いだろう」と判断する可能性が高まります。

家庭裁判所に上記のような判断をされないようにするため、後見開始申立ての面談時には「成年後見人に親族が選ばれた場合には特別代理人の選任申立てを行う予定です」という旨を伝えるようにしてください。
それによって、家庭裁判所の懸念が払拭されるため、親族が成年後見人に選ばれる可能性が高まります。

5. 面談では堂々と自信のある態度で臨むこと

5つ目のポイントは、上記の通り難しいことではありません。

後見開始申立時には、調査官との面談が行われます。
面談では、現在の本人の状況や家族のこと等様々な質問がされますが、面談の調査官は候補者の健康状態や資産の状況、面談の態度もチェックしています。それは、成年後見人に選んでも大丈夫な知識と判断能力があるのか、という点を評価するためです。

そのため、成年後見人としてふさわしいと評価されるように、面談には堂々とした態度で挑むようにしてください。

また、調査官の中には「財産管理に不安はないですか?」とか、「一人で大変じゃないですか?」といったような、斜めからの質問をしてくる人がいます。

しかしそのような場合にも、「今までも本人の財産はきちんと一人で管理してきたので大丈夫です。専門家を成年後見人に選ぶことは本人の財産が減り続け本人のためにもなりませんし、家族も誰も望んでいません。」と堂々と伝えるようにしてください。

成年後見人に選ばれるためのポイント5

最期に

今回は、親族であるあなたが成年後見人に選ばれるための5つのポイントをお伝えしました。
5つのポイントの全てを実践すれば必ず成年後見人に選ばれる!、というような絶対的なポイントではありませんが、成年後見人に選ばれる可能性を確実に高めることはできます。

これから申立てをお考えの方は、是非参考にしてください。

宮内 悠衣子 / 司法書士

横浜市出身。
青山学院大学を卒業後、大手事務所に7年間勤務を経て、中目黒にて独立・開業する。
成年後見をはじめ様々な業務に取り組む。

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