成年後見制度の“本当の”メリット・デメリット

本サイトの作成・運営を担当している司法書士歴11年の司法書士が、自身の経験に基づく成年後見人の“本当の”メリット・デメリットをお教えします!
ご家族に成年後見人をつけるか迷っている方は、ぜひこちらを読んでからご検討ください。
(今回は法定後見制度に関するものについてです。任意後見制度についてはまた次の機会に)

では、まずはメリットから・・・

メリット1. 成年後見人が本人の預貯金や不動産が動かせます

成年後見人に選ばれると、本人名義の通帳やカードは成年後見人が管理し、入出金や振込み作業などを行うことができます。
成年後見人はご本人の代理人と公的に決められているため、ご本人が銀行窓口に行く必要は無く、ご本人の意思の確認をされることもありません。
また、銀行によっては成年後見人名義のキャッシュカードを発行してくれるところもあるため、生活資金の管理などがスムーズになります。

不動産についても同様に成年後見人のハンコで売買契約や登記を行うことができます。

ただし、家庭裁判所の管理の下、また事案によっては家庭裁判所の許可が必要であるため、何でも成年後見人の一存で、ということにはなりません。

メリット2. 本人が行った不利益な契約などを取り消すことができます

「不利益な契約」とは、例えば訪問販売で不要な健康食品を大量に買ってしまった場合や、何社もの新聞社と購読契約をしてしまった場合、リフォーム詐欺の契約をしてしまった場合、買取販売業者が訪ねてきて貴金属を安く売ってしまった場合などです。

このような場合、契約を取り消すことができる人は本来は本人ですが、その本人が認知症等で判断能力がない場合、相手方に取り消しを主張することが難しいです。
取り消すことができるという判断能力も失っている場合が多いからです。

判断能力がしっかりしている成年後見人がついていれば、その成年後見人が本人の代わりに契約を取り消したり、代金の返還を請求したりすることができます。

メリット3. 親族などの使い込みを防げる

同居をしている親族が母の年金や預貯金を使い込んでいる場合などは、成年後見人がつくことでその使い込みを阻止できます。

前述したように、預貯金は成年後見人が管理をすることとなるため、銀行へも成年後見人になった旨の届出を行います。
その届出を行うと、成年後見人以外の人は預貯金の引き出しをすることができなくなります。

次にデメリットです

デメリット1. 費用がかかる

まずは何と言ってもお金がかかるということです。

成年後見人をつけるための申立てを行うためには、最初に約1万円〜10万円ほどの印紙代や鑑定料などの実費がかかります。(書類の作成を弁護士や司法書士に頼むとさらに10万円〜30万円くらいの報酬が必要)

成年後見人が選任されると、その後は選ばれた成年後見人に対する報酬が本人の財産から支払われます。
本人の財産によって変動がありますが、基本報酬と設定されている1000万円程度の財産をお持ちの方で、金額は月に2万円なので、この基本報酬の場合でも年間24万円がかかり、資産が多い場合はさらに報酬は高くなります。

ほかにも、成年後見人が本人のところへ出向く交通費などの実費は、もちろん全て本人の財産から支払われます。

なお、「成年後見人には親族を選んで欲しい」と申立てをしても、家庭裁判所の判断によっては弁護士や司法書士などの第三者が選ばれることもあります。
また、親族後見人が選ばれた後に、家庭裁判所が「この人には専門職後見人も一緒につけた方がいい」と判断して、ご家族と司法書士といった組み合わせで成年後見人に選ばれることもあります。

成年後見制度の利用を検討する場合、ご家族で家計や資産についてよく話し合う必要があります。

デメリット2. 相続税対策や本人の財産を動かすことができなくなる

成年後見制度とは、本人の権利や財産を守ることを大前提としています。
そのため、現在の本人の生活や健康を維持するための出費以外は認められません。

今までは相続税対策として年間110万円をお子さんたちに贈与をしていた場合でも、成年後見人がつけられた後はそのような贈与は認められなくなります。
また、お孫さんを養子にして法定相続人を増やすという方法の相続税対策をされる場合がありますが、そのような本人の意思に基づかない養子縁組をすることもできません。
もちろん、リスクのある投資などを新規にすることや、お孫さんの合格祝いに100万円を渡すといったこともできません。

預貯金だけではなく、ご本人名義の不動産を動かすことも容易にはできなくなります。

本人名義の自宅不動産を売りたい場合は家庭裁判所の許可が事前に必要となり、売却の必要性や価格の相当性、売却代金の使い道などを含め、きちんとした審査がなされます。

ほかにも、長男の住宅ローンの担保のためにご本人名義の不動産に抵当権をつけるようなことは認められません。

本人の介護のために手すりをつけるなどのリフォームローンを組む際に、本人名義の不動産に抵当権をつけることは家庭裁判所の許可も取りやすいのですが、寝たきりの本人が使うことのできない2階部分までもリフォームするためにローンを組むような場合は認められない可能性が高くなります。

デメリット3. 成年後見人の仕事は本人の死亡まで続く

一度成年後見人が選ばれると、やむを得ない事由(転勤や病気など)がない限りは、その人はずっと本人の成年後見人です。

親族を成年後見人として選んでほしかったのに、弁護士や司法書士が選ばれたので、やっぱり成年後見人選任申立てを止めたい」ということはできません。
申立ての取下げにも家庭裁判所の許可が必要かつ、そのように家族の意に沿わない結果になったからという理由での取下げは認められません

ご相談にいらっしゃるご家族の方から伺うのが「成年後見人に専門職が選ばれてしまった。今までは家族のお金としてお父さんのお金を使ってきたけど、これからは生活費以外のお金を渡さないと言っている。報酬もかかると聞いたし、どうにか辞めさせる方法はないか。」といったご相談です。

司法書士としての回答は「その専門職がきちんとご本人の財産管理や身上監護を行っている限りは辞めさせることはできません。」とお伝えをしています。
成年後見制度はあくまでも本人のことを考えた制度なのです。

成年後見制度のご利用を検討の方は、メリットもデメリットもあることをよくご理解の上、手続きをご利用ください。

宮内 悠衣子 / 司法書士

横浜市出身。
青山学院大学を卒業後、大手事務所に7年間勤務を経て、中目黒にて独立・開業する。
成年後見をはじめ様々な業務に取り組む。

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